全周パノラマを作る - 撮影編¶
最近普通の撮影だけだとつまらないなぁと思っていたので、
手持ちの装備+αでもうちっと仕事に生かせそうな撮影をしてみようと
全周パノラマをつくってみることにしました。
なにをどうしたらよいのかもわからないところからスタートだったので
まずは、近所の林で設定を改善しながら3回ほどテスト撮影をしてきたので
その3回分にやったことをいったんまとめました。
装備¶
まず今回の装備から。
カメラ本体¶
ボディはα7R3、レンズはCanonの魚眼レンズ EF 8-16mm F4を使用しています。
EF→Eマウントの交換にはシグマのMC-11を使用しました。
テイク2の時は、以前使用していた5Dをつかってみたのですが
フォーカスエリアの調整が大変だったのと(特に下撮影時)
リモートでシャッター切るのが面倒だったので、結局α7に戻しました。
三脚¶
三脚は、GITZOのGT3541。
ずいぶん前に5Dを使用してるときに竹原の夜景を撮るためにかった頑丈な三脚。
普段の旅行だと、この三脚は重すぎて正直出番がなかったのですが
多少の重さでもびくともしない+センターポールにフック付きなので、全周撮るときにには
非常に有用でした。
https://widetrade.jp/leofoto/ls-254clh30/
いつも使ってるトラベル三脚でも試したのですが、
できはするものの、パノラマで回すときに高確率でズレてしまうので
レンタカー以外の旅行の時に、ついでに撮影したい...時以外は
GITZOを使うことになると思います。
ここまでが元々持っていた装備。
パノラマ撮影に必要なものをいくつか買い足しました。
パノラマ専用装備¶
まずはレベラ。
全周撮影時にパノラマ雲台を水平にするためのパーツになります。
3つのネジをそれぞれ回転することで、水平位置を微調整することができます。
次がパノラマ雲台。
全周を撮るときに使用するパノラマ雲台といえば、ナーダルニンジャというのが
ある種デファクトスタンダードなところがあるのですが、
ニンジャをネイダーアダプタ付きで購入すると約7万。
レベラとあわせて追加投資10万...さすがにきつかったので
最近三脚や雲台でおせわになっているメーカーのleofotoのパノラマキットを
ebayで購入しました(価格は25kほど、日本で買うよりかなり安い+ネイダーアダプタ付き)
あとはカメラ機材以外に、色調整用のカラーパスポート。
マニュアル露出で露出を決定するための18%グレイのターゲット。
を揃えて準備完了。
移動用¶
で、ここまでみるだけでわかる通りめちゃくちゃ装備増えてしまって
これを手で運ぶのが面倒だったので
キャリーカートにまとめました。
このフル装備での撮影は、実質車前提です(´・ω・`)
ナーダルポイントを設定する¶
ナーダルポイントとは、いわゆるレンズの焦点の中心のこと。
Mayaのカメラで言うところのデフォルトでピボットがある位置がソレです。
何故このポイントを出しておく必要があるかというと、
全周画像をつなげる(スティッチ)ときにスムーズにつなげるには
パノラマ雲台の軸ではなく、このレンズのナーダルポイントを回転軸にして
回してあげる必要があるからです。
ナーダルポイントでカメラを回すと、
こんな感じで後ろに隠れているCubeは見えないのですが
ポイント以外で回すと、後ろのオブジェクトが表示されます。
通常三脚にカメラをつけてパンしただけだと
ポイントはずれてしまうので、ナーダルポイントでカメラを回せるように
パノラマ雲台の位置を調整します。
方法などは↓を参考にしました。
https://www.dronediy.jp/2016/01/nodal-ninja3-mkii360.html
当然のことながら、毎度現場で調整などしていられないので、
部屋で事前に調整して、指定のポイント部分にマーカーをつけておきます。
こちらが、ポイントを調整したあと、セッティングをした結果。
普段の写真撮影の時には、グリップ力を上げるためにSmallRigとキャプチャ取付用のパーツ(アルカスイス互換)
をつけてるので、パノラマ雲台に固定するときもそのままつけて撮影してみました。
が、、、α7とSmallRigの部分がじゃっかんガバるのと、ピークのパーツの固定がガバるので
シャッターの振動で若干ブレを起こしてしまいました。
あとは、下向き撮影でパノラマ雲台の中心軸を通るように角度を調整するのですが
その調整がかなりズレやすくなってしまいました。
HDR合成をしない場合なら影響はちいさいきがしますが
合成前提ならば面倒でもSmallRigを外して専用のプレートを付けたほうが良いとおもわれます。
撮影する¶
準備ができたので撮影タイム。
が、当然のことながらどういう設定にしたら良いのかわからないので
色々サイトをみつつ、試してみて、どうするかを調べながらテスト撮影しました。
レンズ・カメラ設定¶
今回使用しているレンズは、フルサイズの場合は全周(180度撮影出来る)魚眼なので
全周で撮影すれば撮影枚数を減らすことができます。
ただし、その場合解像度がさがってしまうし
全周で撮影すると画像のキワがけっこうぼけたりしてしまうので
あえて対角魚眼(15mm)を使用しています。
露出設定は、テイク1のときにはAvでF8にしてたのですが
その場合回したときに露出が変わってNGだったのでテイク2からマニュアル露出にして
18%グレイで露出を決定したあと、撮影をしています。
あと、F値も、F8~12ぐらいが基準というのが調べてて出てたのと
8で撮ったときよりもうちょっと絞ったほうがよさそうだったので
最終的にはF10で撮影しています。
一応、現状での最終設定はこちら
F値 | F10 |
ISO | 100 |
ホワイトバランス | オート(あとで現像時に調整のため) |
測光 | マルチ |
フォーカスエリア | フレキシブルスポット |
ISOは100固定でしたが、
場所によってはSSを稼ぐために200~400ぐらいには上げるかもしれないです。
撮影枚数¶
まず、全周をとるのに必要なのは、
水平方向のパノラマと、上下の画像+三脚消し用の画像。
水平方向の枚数は、全周魚眼レンズを使用した場合で最低2枚、基本4枚。
対角魚眼で多くの場合6枚で撮っている人が多かったです。
ただ、テイク1のときには4枚でいけると思い込んでいて
つなげる処理で画像が微妙に足らずに失敗しました。
また、下向きの画像も1枚だけだと三脚消しの精度が下がってしまい
綺麗に消せなかったので
180度回した画像も撮影するようにしました。
また、今回はHDRで出力するので(合成ではなく16 or 32bitのHDR画像)それぞれ露出違いで
撮影しました。
設定はドライブモードを「連続ブランケット:2.0EV 5枚」にしています。
初回、EV+3の系5枚で撮影したのですが
その場合EF+6が完全黒or白になってしまい
全く意味をなさなくなってしまったので、テイク2ではEV+2刻み計5枚と
EV+1刻み計9枚でテストしました。
撮影対象物次第ですが、今のところEV2の5枚のほうが
合成のブレなど含めてもバランスが良い気がしています。
この辺はもうちょっと数を撮影してみて、調整しようとおもいます。
撮影開始¶
まず、露出を決定。
全周を同じ数値で撮影するために、最初にマニュアルの露出調整をします。
18%グレイのターゲットあわせで、F値10としてSSを調整して
露出の数値を0.0になるようにします。
次に、色調整用のカラーパスポートを撮影。
これはお約束として全周を撮る前に必ず撮影しました。
というのも、5枚×10で1セット50枚なので、現像するときにどこからどこまでが1セットか分からなくなるんですよね...
ので、目印の意味も含めてかならず撮影しています。(もちろん色調整にも使います)
次にリモートでシャッターを押すためにスマホと接続。
α7にはNFCがついているので、Android端末ならアプリを起動していない状態でもNFCにタッチすれば
アプリが起動してWiFiで接続してくれます。
アプリからのシャッターだと、ボタン1回押すだけで
連続ブランケットのシャッターを全部切ってくれるのでとても楽です。
あと、撮影テストで2回目は以前使用していた5Dm3を使用してみたのですが
そのときは有線シャッターだったので下を撮影したときに足下が写ってしまう
ピント位置の確認がしづらい(αならスマホから見れる)
シャッターを都度5回押す必要がある
などの不都合があったので
結局α7でいくことにしました。
ここまで準備ができたら、あとは水平方向に6枚→上→下の180度違い、足消し用撮影の順番で
撮影していきます。
パノラマ雲台を使用している場合、
ネジの設定をしておけば、指定角度で固定をすることができるので
今回の場合60度で止まるようにしてあります。
あとは、上方向と
下方向
(ピークのストラップは邪魔だったのであとでずらした)
足消し用に根元を180度回して、三脚位置をずらした足消し用。
足消し用撮影テスト時に1度ミスったのが
三脚消しテスト...惜しい(´・ω・`)
— あんどうめぐみ@れみりあ (@fereria) 2019年5月2日
部屋で撮影テストすると、ピント位置によってポイントずれがおきるからなかなか難しいな
広いところの方がスティッチは楽かも。 pic.twitter.com/pKOj50n1nA
こうなったので(黒いところがマスク処理したせいで抜けたところ)
足消し撮影時の三脚足位置が上に2本在るようなじょうたいじゃないと
真下の地面撮影が綺麗に行かなかったので
回転を調整して↑のような画像のように微調整するようにしました。
あとおまけで
ワンボタンで全周を撮影できるカメラも併せて持ち歩いて
併せて撮影するようにしました。
というわけで、最終的には水平方向6枚+上、下2枚、三脚消し用画像の系10枚が1セットをまとめたのがこちら。
準備してから撮影するまでがなかなか長かった...orz
追加装備¶
撮影検証を3テイクしたのが↑に書いた内容ですが
その後に追加で装備を増やした方が良かったのがあったので、組み立ててみました。
それがカラーパスポート。
手で持つのもアレだったので(スローシャッター時にブレる)
スマホを三脚に固定するためのパーツを新調して
Insta360の棒+Leofotoのミニ三脚の台に取り付けました。
撮影機材が増えてしまったので、全周撮影用セットを作ったのですが
棒も三脚もバラせばコンパクトなのでチェッカースタンドを別途増やしても荷物的負担はあまり変わらずでした。
まとめ¶
普通の撮影以外に、仕事につながりそうなカメラの活用方法はないものか...
というところからいろいろとテストを始めた全周撮影ですが、
想像以上に考慮したり、調整したりする必要があるのと
今までの知識では足りないことも多かったので、勉強になりました。
特に色回りの管理(パスポート使うところ、露出の管理)は今まであまり意識をしていなかった範囲なので
まだまだ勉強しなければいけないところが多いように感じました。
近いうちに、1日かけて撮影テストを兼ねて昭和記念公園あたりにでも出かけてこようと思います。
長くなったので撮影パートでいったんとめて、続きの現像~全周加工はまたこんど。