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SOPから無理やりデータを持ってくる

USD AdventCalendar2022 9 日目は
SOPにLOPを持ち込もう で無理やり LOP から持ち込んだデータを
SOP で編集してから LOP 側に戻してみます。

前回は、Python を使用して USD のアトリビュートを、Prims の Attrib として
持ち込みをしてきました。
その時に、 : は __ に置換しているので、そのあたりもカバーしつつ
返さなければいけません。

さらに、特殊な PrimitiveType だとそのまま戻すことはできないようなので
それを踏まえて対策をする必要があります。

ので、今回は Python を使用して SOP のデータを持ち込みつつ
USD の Prim として扱えるようにします。

まずは、このように LayerBreak ノードを作成し、その次に PythonScript ノードを作ります。

この「LayerBreak」ノードは、
このノード以前のノードの Define をせずに
LayerBreak ノード以降の変更点のみを「Over」で出力します。

通常、LayerBreak がない場合は、Prim は「def」で定義されています。
def の場合は、現在のノードの上流に定義がなかった場合は作成するし
すでにある場合は上書きします。

対して LayerBreak がある場合は「Over」で出力されます。
この Over の場合、上流のノードに Prim がない場合は
合成されても Prim は作成されなくなります。

つまりは、この SOP からデータを持ってくる差分だけの結果のレイヤーが作成されます。
こうすると、LOP 側の処理で Prim の Namespace が変化したり、削除したあとに
SOP での編集結果を合成した場合にも
削除した Prim は SOP での編集は無効扱いにできます。

で、次に Python ノードで SOP のデータを持ち込みます。

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node = hou.pwd()
stage = node.editableStage()

# Add code to modify the stage.
# Use drop down menu to select examples.

sop = hou.node('/stage/sopnet1/output0')
geo = sop.geometry()

for prim in geo.prims():
    usdPrim = stage.GetPrimAtPath(prim.attribValue('path'))
    for attr in geo.primAttribs():
        attrName = attr.name().replace("__",":")
        if usdPrim.HasAttribute(attrName):
            usdPrim.GetAttribute(attrName).Set(prim.attribValue(attr.name()))

方法はシンプルで、
SOP の output ノードのジオメトリを取得し
そこにあるアトリビュートを取得します。

アトリビュート名は __ を : に置換して、USD 側の Prim に Attribute がある場合は
その Attribute に SOP の Geometry の Attrib の値をセットすることで
SOP のデータを持ち込みできます。

試しに SOP 側の intensity を編集してみます。

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@inputs__intensity = 100;

SOP の wrangle で値を変更してみます。

LOP の Python ノードの結果をみてみると、 intensity = 100 に書き換えできました。

メモ

データの行き来を Python を経由していて初めて知ったこととして

LOP 側の Python で SOP のジオメトリノードを取得した場合は、 read-only になります。
逆に、SOP 側で LOP の Stage を読む場合も read-only になります。
よく考えてみたら、たしかに別の世界からアクセスできてしまうと
大変面倒なことになりそうなので、それぞれ独立しているのは
まぁ当然だよな…と思いました。

今回は、特殊な方法で SOP がわの Geometry の attrib に持ち込んでしまったので
トリッキーな手段を取りましたが、
USD の Mesh を SOP 側に持って行って、その結果を取得したいのなら

SOPImport ノードという有能ノードがありますので、これを使えば問題ありません。
アトリビュート名の置換のようなことをしなければ SOPImport で事足ります。

これ以外に、去年のアドカレで
https://qiita.com/K240/items/d3d0fa8a632bc06cfda5
Scene Import LOP object translator plugin という手段もありましたので
こちらを使ってみるのもありかなぁと思いました。

まとめ

かなりトリッキーな方法ですが、 hou.node で、SOP と LOP のノードを取得すれば
必要な値を SOP にまとめて送って、加工して戻すみたいなこともできるということがわかりました。

だいたいのことは Python を使えばできそうだな…というのはわかったものの
あまりやると Houdini らしさがなくなってしまうので
もうちょっと Houdini を勉強しつつ、より良い SOP-LOP の行き来を目指したいと思います。

今回のサンプルは こちら